2012年12月2日日曜日

竹工芸はじめました


2ヶ月前の32歳になった翌日から、竹で籠などを編むことを始めました。動機は自分で畑仕事をする際の農具をつくりたい!という単純なものでしたが、当たり前のように家で毎日使っていた祖父が作った大きなザルを眺めていて、気持ちの込もった「手仕事」が生活のなかに在る暮らしが、各個人にとってより良い明日を作ると直感したことも大きく起因しています。本来僕たちが営んできた暮らしは、自然と調和し共生するものであって、略奪や搾取、他人の犠牲の上に成り立っていたものではないはずです。いつまでも石油製品に依存し続ける生活であってはならないし、そこを脱却するためには「用の美」を生活のなかで感じ取る、シンプルな充足感を味わい毎日を丁寧に生きる…そんなことが必要だと日々ずっと思っていました。栃木県の大田原市は九州の大分県と並んで竹工芸が盛んな地域でもあり、素晴らしい技術を持った先輩方・偉人が多く住まわれています。僕なりのThink Local / Act Globalは、地域の歴史を学び継承し、音楽に携わる生活のなかで育むことのできた感性や自由な精神に則ってアウトプットすること。いま、ここにいる、僕にしかできない表現をすること。農→食→医と連綿と続く生活意識のなかで、いかに氣を充実させ、結晶をかたちとして残すか。これは一生続く挑戦でもあります。

そんな覚悟を決めた折、先生の紹介もあって竹割り鉈と小刀を買い求めに宇都宮市の中心地で創業91年目になる「菊秀刃物店」に出向きました。今のご時勢、きちんとメンテナンスできる包丁などを買おうと思う人も少ないようで、あいにくここのお店も今年いっぱいで閉店してしまうそうです。店主に自分の欲しいものの用件を伝えると、店の焼き印の入った最後の一本の小刀を奥から出してきてくれました。接客をしてくださった会話のなかで、僕が今年帰郷し、ここに至った経緯などを話し、これから先この小刀で頑張ります!と話していたら、とても喜んでくださって、「是非あなたのつくった作品を使いたい。いつまでも待ってますので。」と言って連絡先を渡されました。正直な気持ちを言ったまででしたので、正直驚きましたが、とてもあたたかく、心の震えを感じた尊い瞬間でした。仕事は本来、誰かのために、喜んでもらうためにあるものだと思います。まずは一人、目的となる隣人ができたことを嬉しく思いましたし、励みにもなりました。まだ農も音楽も竹も駆け出しですが、思い切り新しい生活に飛び込んだ2012年。行動からの一期一会がもたらしてくれた素晴らしい出会いに感謝です。

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